巨大児童ポルノサイト摘発に役立ったビットコイン―各機関はどう利用した?
10月16日、サイバーセキュリティ製品企業「IronNet」の副社長Jamil Jaffer氏がBloomberg Technologyに出演。
アメリカと韓国がビットコインをどのように利用して世界最大級児童ポルノサイトを摘発したのか、番組司会のTaylor Riggsと議論を交わした。
- 匿名性を高めるとされていたビットコインが、今回はその匿名性を暴くために利用され、世界最大級ポルノサイト摘発に役立った。
- ビットコインの取引記録は永久的に残るという特性から、悪人を1人暴ければネットワーク全体の悪人を芋づる式に暴くことが可能。
- 議員の知識が業界の移り変わりのスピードに追い付いていないことから、業界を規制できるかどうかには懐疑的。
- どんな犯罪であれ、容疑者を特定し刑務所へ入れるためには、政府がより積極的に仮想通貨業界と協働していくべき。
How Authorities Used Bitcoin to Bust a Giant Child Porn Site from Bloomberg
<動画翻訳>
Taylor:まずはこの話の一部始終と、ビットコインで容疑者を追跡し、見つけ出すことが可能になることについてお話しいただけますか?
Jamil:分かりました。
ご存知のように、今までのビットコインによる試みは全て、取引を匿名化し、取引の身元を分からないようにするためのものでした。
そうして今回起きたのが、警察や国税庁といった機関がそれらの匿名性を暴けるようになったということです。100万DL以上、25万人以上のファイルを取り仕切っていた23歳韓国人男性を特定したのです。
幼い子供たちの搾取が未だかつてないほどの規模で爆発的に増えており、ビットコインがこれを可能にしています。
ところが、今回だけで300人以上にも上る逮捕者を特定し、追い詰め、刑務所に入れるために我々が利用したのもまたビットコインなのです。
Taylor:まさにそのお話をしたいと思っていました。今回のように、ビットコインはいわれのない非難を受けています。
でも、もし私たちがビットコインを使って悪人を捕まえたり、違法な活動を厳しく取り締まれるなら、そういう場合、ビットコインは助けになるのではないのですか?
Jamil:そうですね。
今回、政府は間違いなくビットコインの「匿名性」という特性を打ち壊すことができました。
どのようにそれを行ったかは明らかではありません。
オンラインでは多くの人が複数の身元を使っていることも考えられますが、もし巨大なデータベースが漏洩し、それにアクセスできれば、人々が他でも使っている共通のパスワードやEメールアドレスから身元を割り出せるかもしれません。
しかし、ビットコインの特性は2要素からなります。
匿名性があるのと同時に、その記録は永久的で、誰と誰が取引したか詳細であるということです。
ですから、一度悪人を見つけてしまえば、彼らの活動の全ネットワークを探し出し、他に誰が彼らと取引しているかも特定できるのです。
そしてもしその匿名性を暴くことができれば、それは極めて強力です。
同じ方法で、政府はずっと前に215のメタデータプログラムを用いてテロリストの身元を特定しました。
Taylor:それでは、国税庁や政府は大体この方法で悪人を追跡しているのですね?
一度悪人を見つけることができれば、違法な活動を行っている他の者も見つけることができると。
Jamil:その通りです。そして今回は330人を捕まえました。
賢い人であれば、彼らが共通して取引を行っているのは誰かを明らかにしようとするでしょう。
全員が取引しているのは誰か。その人物こそ児童ポルノにのめり込んでいる人間です。
明らかにそのウェブサイト上で取引を行い、大量の画像を所有している。
たくさんの取引をしている人物こそ、関与も深いと言えますよね。
そして彼らが悪名高いサイトで取引を行ったところで身元を暴くことができれば、それこそ本物のトリックであり、非匿名化です。それを大規模かつ早急に行うことができれば、きわめて強力になるでしょう。
このビジネスを行う会社は、非匿名化されたこの新たなケーパビリティに基づいて何か面白いことを行う準備をしているかもしれません。
Taylor:規制があれば助けになるのでしょうか?それとも悪人は抜け道を見つけてしまうのでしょうか?
Jamil:移り変わりの激しいこの技術の特性上、私は基本的にこの領域での規制には懐疑的です。規制者らがこの領域に付いていくのは大変なのです。
キャピタルヒルで行われたFacebookのヒアリングを見れば、議会議員の知識レベルに愕然とするでしょう。
何人かの若いメンバーですらなかなか付いて来れないのですから。そんな彼らが後れを取らず「児童ポルノについて話し合おう」なんて言っているところはあまり想像できません。
政府は攻めの姿勢をとらなければならないし、業界としっかり協働するべきです。
提携して、悪人を特定できるようにならなければならないのです。
なぜなら、今日の児童ポルノであろうと、未来のテロリストであろうと、私たちは接触手段を持ち、彼らを特定して刑務所へ入れなければならないのですから。